移動用 HB9CV Quad

IMG_8892.JPG 移動用に何か自作のアンテナを作ってみようと思い立ちました。 作ること自体も楽しみのうち、 ということで、どうせなら目立つものにしようと思い、 HB9CV Quad を多エレメント化したものを計画しました。

普通、HB9CV Quad というと Swiss Quad を指します。 今回試したのは普通の HB9CV (1/8λ間隔でおいた反射器を 135°(-225°)の位相差で同時給電するもの) をループ化したもので、 Swiss Quad とは特性的にちょっと異なります。 Quad 系のアンテナは正しくはループアンテナではなく、 ダイポール (八木) の上下スタックですので、 HB9CV 上下スタックという方が、 電気的説明としてはあっているものと思います。

なお、 一人で移動運用が可能になるように、

  1. なるべく軽く (エレメントやフェーズライン以外は全部木材)
  2. 分解して乗用車で運べるサイズ (最長は 1.8m の 2分割ブーム)
  3. 簡単に組み立てられること (慣れれば 10分)

を最低限の目標としました。

概要

Quad-v1-fig2.png 基本的な形状は、 4エレメントの Quad です。 ただし、 給電する 2本のループの前後に導波器 (Director) と反射器 (Reflector) を増設して 4エレメントとしているところが、変わっているかと思います。 後ろ側の給電エレメントはもともと反射器として働きますが、 いろいろ試行錯誤の結果、 導波器を増設してメインローブのパターンをシャープにするより、 反射器を増設して F/B を上げた方が移動用にはよかろう、 ということになりました。

なお、給電点をループの上辺に持っていっている理由は、 フェーズラインとマストの接触を避けるため以外にありません。

設計はアンテナ解析ソフトのスタンダードである MMANA を利用させていただきました。 以下、 一部 MMANA の表示画面の一部を掲載させていただいている点、 お断りしておきます。

エレメント寸法

以下は、エレメントの設計寸法です。 各ループは正方形です。

エレメント 外周 (m) 辺長 (m) ワイヤ径 エレメント間隔 (m)
Reflector 2 6.490 1.623 2mm銅線 (被覆)
1.109
Driven Reflector 6.420 1.605 2mm銅線 (被覆)
0.708
Radiator 6.050 1.513 2mm銅線 (被覆)
1.490
Director 5.810 1.453 2mm銅線 (被覆)

当初、 軽さが魅力で 0.5m径程度のステンレスワイヤ (細いステンレスのより線) を使いました。 確かに軽くて良いのですが、 線径が細くて利用可能帯域が狭くなる、 接触抵抗が大きいせいか調整が難しい、 半田づけがしにくい (できないわけではありません) などの理由であきらめました。 結局、 2mm径の被覆銅線 (銅線部分が 2mm径です) という無難な選択となりました。 重量が格段に増しましたが、 全体を片手で楽に持ち上げられる程度ですので、 許容範囲と思っています。

フェーズライン

IMG_9065.JPG このタイプの位相差給電方式は、 フェーズラインが勝負のようです。 ここをうまく作らないと、 マッチングが取れていても飛びが悪い、 まったく切れない、 などの現象が見られます。

600Ω程度のオープンワイヤから 300ΩのTVフィーダ、 果ては ACコード、小判コードまで 10種類程いろいろ試しましたが、 結局のところ、 1mm 銅線を 13mm 間隔で平行に置き、途中で 180°ねじる形式が最も良い結果となりました。おそらく、ライン自体のインピーダンスは 120Ω程度と思われます。

また、 間隔はあまりシビアではなく、 多少くるってもあまり影響はありません。 ただし、 銅線の径は非常にシビアです。 1mm径を 2mm径にしただけで、 ライン自体のインピーダンスが大きく変わってしまいます。

後ろの給電エレメントの位相差は、 このフェーズラインの長さ (と速度計数) で決まります。 構造上、 エレメント間隔でほぼ決まってしまいますのであまり調整の余地はありませんが、 おおむね

300 / 50.2 / 8 * 0.95 = (71cm)
であれば -225°の差は得られます (フェーズラインを反転することで 180°遅れ、さらに 1/8 波長分、すなわち 45°遅れますので、計 225°遅れ、135°進相になります)。

給電・マッチング

IMG_8894.JPG 不平衡のまま給電でき、 調整がしやすいということで、 ガンママッチを使うこととしました。

このため、 エレメントのガンマロッドと並行な部分だけ、 5mm径の細いアルミパイプを用いることとしました。 本来、エレメントの材質はすべて同じにしたいところですが、 この部分だけは機構的にいたしかたありません。

ガンマロッドも手持ち部品の関係からエレメントと同じ 5mm径のアルミパイプを利用、 ガンマロッドとエレメントの間隔は 25mmとしました。

SQPlusFigure-01.png

シミュレーション

これらの数字を MMANA に入力、 得られた計算値 (あくまで計算値です、実測値ではありません) を以下に示します。

MMANA の後ろ側給電部の位相は、 135°と入力します。225°と入れてはいけません、入れるなら -225°です。

なお、条件はリアルグラウンド 10mH としました。

Quad-v1-fig3.png Quad-v1-fig5.png
Quad-v1-fig7.png

フロントゲイン 14.8dBi、F/B 22.9dB は実際はかなり「どうかな???」、 と思います。 が、放射パターンはサイド、バックがそこそこ切れ、 フロントがブロードなので移動向きと言えそうです。

>> 制作過程 >>

最終更新日: $Date: 2010-03-22 23:52:40+09 $

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